高濃度ビタミンCを科学する

高濃度ビタミンCという点滴をご存知でしょうか。濃度の高いビタミンCを短時間で血管内に点滴することで、内服などよりも様々な医学的効果が期待できるというもので、美容外科・美容皮膚科のクリニックでは人気のメニューです。ネットを見ていると美肌や抗酸化などの美容をメインとした効果からガン抑制というような高い医学的効果まで謳われていますが、果たしてこれらは本当なのでしょうか。

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今回は高濃度ビタミンC点滴について科学してみたいと思います。

高濃度ビタミンC点滴とは

高濃度ビタミンC点滴という名称ですが、実際に投与するのはただのビタミンCです。それを10g〜100gくらいのまとまった量を1回で点滴するものが「高濃度」ビタミンCと呼ばれています。量が違うだけで、ビタミンCの性質は日常的に皆さんが果物などから摂取している一般的なのものと何も変わりません。

ビタミンCは作り出せない

多くの動物はビタミンCを体内で作ることができますが、ヒトは体内で作り出すことができません。成人の1日の必要量は100mg、ビタミンCが足りなくなると壊血病などをきたす恐れがあるので、必ず摂取しなければなりません。1日の目安としてはレモン100g(約1個)やキウィ150g(約2個)で100mgのビタミンCが含まれていると言われていますので、そのくらいの量を毎日摂取する必要があります。ビタミンCは水溶性で加熱などにも弱いため、料理を行うことで失われてしまう場合が多く、生野菜や果物から摂取することが確実でお手軽です。

高濃度ビタミンCの歴史

高濃度ビタミンC点滴の歴史は古く、1970年代までさかのぼります。ノーベル賞を2回も受賞しているポーリング博士が癌患者に高濃度のビタミンCを投与することで延命効果が得られたということを発表しました。その後、否定的な研究結果などが続きましたが、2005年にアメリカの国立衛生研究所が癌に効果があるという発表を行い、改めてその効果が見直されて現在に至っています。美容的な観点からも抗酸化作用やシミ・くすみの改善、コラーゲンを増やす作用などに注目が集まり、同時期に治療が開始されてきました。

点滴じゃないと意味がない

世の中にはたくさんのサプリメントが販売されており、その中にはビタミンCがたくさん含まれているものもあります。しかし、内服ではどれだけたくさんの量を摂取したとしても高濃度ビタミンC点滴の効果を出すことはできません。その理由は「血中濃度」にあります。

ビタミンCに高い効果を求める場合、400mg/dlくらいまで血中濃度を上げる必要があるのですが、内服の場合には吸収が緩やかなため摂取量の割に血中濃度が上がらないという問題がありました。それを解決したのが高濃度ビタミンC点滴で、直接血管から点滴で投与した場合には早期から血中濃度が上昇し、高い効果が発揮されるのです。高いビタミンCの効果を得るためには点滴が唯一の選択肢となります。

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高濃度ビタミンC点滴のメリット

高濃度ビタミンCには様々な効果があります。特に美容面においては高い効果が期待されるので人気のある治療となっています。また、ガン治療においても一般的な病院で行われている標準的治療に加える補助的治療として注目を浴びています。

美肌効果・抗加齢(アンチエイジング)効果

高濃度ビタミンC点滴には様々な美肌効果があります。コラーゲンやエラスチンの原料となることでお肌のハリツヤを作り出したり、メラニンやチロシナーゼの生成を抑制してシミやくすみを薄くしてくれたり、老化の元となる活性酸素を除去することでアンチエイジングの効果があったりと、様々な効果が証明されています。ニキビなどに対する抗炎症作用もありますので肌が気になる若い方にもお勧めできる治療です。美肌効果を期待する場合には1回20〜30gくらいのビタミンCを月に2〜4回点滴するのがお勧めです。

ストレス対策

高濃度ビタミンC点滴は免疫力をアップしてくれますし、ストレスで発生する活性酸素を抑えてくれるので、ストレスに対しても高い効果を発揮してくれます。ストレスが理由でタバコを吸っている方にとっては、不足しがちなビタミンCを補充するという意味でも価値のある治療です。

ガンに対する効果

美容についての効果は間違いなくありますが、ガン治療に対しての効果については医学界でも賛否両論です。点滴で投与した場合には効果があるという報告もありますが、少なくとも大量にビタミンCを内服することで効果が期待できるという信頼性の高い報告は見当たりませんので、内服に高額の費用をかける必要性はなさそうです。

高濃度ビタミンCの点滴によるガン治療に関しては効果が出ているケースもありますので、一概に否定することはできませんが、あくまで一般病院で行われている標準的な治療を軸に考えた補助的治療としての位置付けを超えることはありません。高濃度ビタミンC治療に頼りすぎることがないように注意しなければいけません。

高濃度ビタミンC点滴には様々な肌への効果がありますので、ガン細胞に対する直接的な効果だけではなく、放射線治療や化学療法を行った副作用として肌や粘膜が荒れてしまった場合などでは、症状を軽減させる目的で使用する場合もあります。

高濃度ビタミンC点滴のデメリット

高濃度ビタミンC点滴はリスクの少ない優れた治療です。ガン細胞には効果があっても通常の細胞にはダメージを与えないという文献も多数見られます。ですが、小さなものや特殊なケースですが、注意が必要な場合が有ります。

痛み

高濃度のビタミンCは血管に刺激を与えるので、点滴時に痛みを感じる方が20%位います。マグネシウムなどの注射薬を併用することで痛みを軽減することが可能です。

G6PD欠損症

先天的にG6PD活性という検査で活性が低い方がいらっしゃいます。この活性の低い人に高濃度ビタミンCを点滴すると血液が壊れてしまい、貧血などを引き起こす危険性がありますので注意が必要です。全世界的にはアフリカを中心に数億人がいると言われていますが、日本人では0.1〜3%程度がこの先天異常を持っていると予測されています。美容クリニックでは20g以上のビタミンCを投与する場合にはこのG6PD活性を検査している施設が多いですが、検査をせずに点滴を行っている施設もあります。一度検査すれば生涯変化することはありませんので、必ず検査をしてから治療を行うことをお勧めします。

キルシェクリニックができること

東京都港区赤坂にあるキルシェクリニックでは、高濃度ビタミンCの点滴を行っています。院長が美容外科医・美容皮膚科医としてのキャリアと、麻酔・救命救急・総合診療・人間ドックなど一般臨床での幅広い経験を持っているので、美肌目的の方からガン治療目的の方まで幅広くお越しいただいています。G6PD検査も最短で翌日には結果が確認できるような体制を取っていますので、急いで開始したい方も安心です。

金曜・土曜は21時まで対応していますので、お仕事帰りに疲労回復注射や肌のシミとりレーザーなどと併用していらっしゃる方も多いですよ。費用も格安の設定をしておりますので、通いやすいと好評です。

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