脂肪吸引はカラダに少なからずダメージが生じる施術なので、できるだけ早く回復させて日常生活に戻るためには、安静にすることのほか食事に気を使うことが大切です。とは言っても、なかなか疲労回復やダメージ回復を意識した献立を考えることは難しいものですよね。
今回は、脂肪吸引後の回復に有効な食事について書きたいと思います。さらに、脂肪吸引のプロが栄養のプロに相談して作り上げてみた、自炊で作りやすく、外食でも選びやすいメニューの食事なども紹介しています。脂肪吸引後の食事で悩まれた時や、できるだけ脂肪吸引後の回復を早めたいと思っている方は参考にしていただき、早く良い回復ができるように頑張りましょう!
目次
脂肪吸引で生じるダメージとは?
脂肪吸引とは、数ヶ所の小さく切開した穴からストロー状の細長い管を使用して脂肪を直接吸い出す施術です。効果的に脂肪を減らすことができる一方で、腫れや内出血が生じるくらいのダメージが一時的に残る施術でもあります。脂肪を吸引することによる直接的なダメージだけではなく、出血による貧血や術後の痛みなどによって体力を奪われるなどもあります。
適切に施術を行えば脂肪層だけのダメージで済みますので比較的回復が早いですが、あまり脂肪吸引や麻酔が得意ではない医師が担当した場合には、脂肪層の奥にある筋肉まで傷つけてしまったり、不必要な過度の麻酔や痛みの残る不十分な麻酔で体へのストレスを与えてしまう場合もあり、深刻なダメージが長期間にわたって残ってしまうこともあります。脂肪吸引は担当する医師によって施術の結果も術後の経過も大きく変わってくるということを覚えておきましょう。
話しは少しそれますが、脂肪吸引において医師選びはとても大切です。ネットの情報や雑誌などの宣伝広告だけに惑わされず、必ず複数のクリニックを回ってカウンセリングを受けるようにして下さい。
これらのカラダが受けた様々なダメージは、安静にして待つことだけでも2週間程度で徐々に回復していきますが、傷ついたカラダの修復には様々な栄養素が必要となり、その栄養素を補給してあげることで効率的に回復させることが可能です。つまり、施術直後から食事に気をつけていくことで、より早い回復が期待できるのです。
脂肪吸引からの回復に必要なのはアミノ酸とタンパク質!
脂肪吸引の施術からの回復でポイントになってくるのはアミノ酸とたんぱく質です。実はアミノ酸の多くはタンパク質を分解したものなので、ほぼ同じものとも言えるのですが、タンパク質からアミノ酸に分解されるまでには時間がかかります。タンパク質だけでダメージを修復させようとすると時間がかかってしまいますので、タンパク質と同時にアミノ酸も摂取することが有効です。施術前からの準備としてアミノ酸やタンパク質を積極的に食べておくことも有効な手段ですので、施術2週間くらい前からは脂肪吸引に向けての食事を意識するようにしましょう。アミノ酸やタンパク質は主に肉・魚・卵・大豆などから効率的に摂取することが可能です。
オススメのお手軽食事とは?
アミノ酸やタンパク質を手軽に摂ることができる、オススメの食事をいくつか紹介してみます。簡単に食べられるものや、外食しやすいものを中心にあげていますので、参考にしてみてください。
【豚肉】豚丼・とんかつ・豚の生姜焼き、など
豚肉は、脂肪吸引前後の食材として一押しの食材です。アミノ酸についてはロース肉100gあたり、必須アミノ酸だけでもなんと3000mg以上も含まれています。また、豚肉はアミノ酸だけではなくビタミンB1という疲労回復やエネルギーの生産に大きく関わっている栄養素も豊富に含んでいる、とても良い食べ物です。脂肪吸引の施術前後には積極的に食べるようにしましょう!脂質の量を考えると、バラ肉よりもロース肉を食べるほうが良いでしょう。
【卵・乳製品】卵・牛乳・ヨーグルト・チーズなど
卵や牛乳は良質な動物性タンパク質が豊富に含まれていますので、カラダのダメージからの回復にとても有効です。卵は1日1個から2個、牛乳は1日1杯など、無理のない範囲で食べることで回復を早めることが期待できます。牛乳が苦手な方はヨーグルトやチーズを積極的に食べるようにしましょう。
【大豆】納豆・冷奴・湯豆腐、など
大豆も豚肉と同様でタンパク質の他にもビタミンB1が豊富でオススメできる食材です。ただ、タンパク質は植物性よりも動物性の方が回復の効果が高いと言われていますので、できれば動物性タンパク質を積極的に摂った方が良いでしょう。
【牛肉・鶏肉】鳥の唐揚げ・焼肉など
豚肉同様、牛肉や鶏肉もカラダの回復には有効です。豚肉が苦手、という方は牛肉や鶏肉を積極的に食べるようにしてみると良いと思います。
【その他】
しいたけなどのキノコ類、山芋、シジミなどの貝類、ネギやニンニクなども回復には有効です。これらはメインにはなりませんが、鍋にしいたけを加えたり、とろろご飯にしてみたり、お味噌汁はシジミを選んだり、ニンニクを味のアクセントとして使ったりと工夫をしてみて下さい。料理が得意な人は、大根の葉っぱを事前に炒めて作り置きしても良いと思います。大根の葉っぱにはビタミンB1やB2などが豊富に含まれており、脂肪吸引後のご飯のアクセントとして食べると良いと思います。
また、柑橘系や梅干しなどに含まれているクエン酸も疲労回復には有効とされていますので、取り入れてみると良いでしょう。
和食は体力回復の優等生
和食は栄養バランスに優れ、アミノ酸やタンパク質もしっかりと含まれています。脂肪吸引の回復食として考えてもオススメできるものです。作るのは手間がかかりますが、外食では肉以外のものを食べたいと思ったときには、和食を中心に考えると良いと思います。
その中でも、ソバはビタミンB1・B2だけではなく良質なタンパク質も豊富に含んでおり、脂肪吸引後の回復にはとても有効です。のどごしが良く食べやすいという点、温かいもの(かけそば)でも冷たいもの(ざるそば)でも食べられ、作ることも簡単である点、駅には立食いのスタンドがあり利用しやすい点などから、ソバアレルギーがない方にはオススメの食べ物です。そば粉と小麦粉の栄養素は補完関係にありますので、そば100%よりも小麦粉が加えられているソバを食べると良いでしょう。ソバを食べるときには肉ソバやとろろソバなどにすると、さらに回復に効果的です。
甘いものも少しは食べましょう
脂肪吸引というイベントをキッカケにして、ダイエットを開始したり食生活を見直す方が少なからずいらっしゃいます。甘いものがダイエットの敵なのは間違いないですし、脂肪吸引で人生をプラスに変えるために努力することは素晴らしいことだと思います。ただ、糖分も脂肪吸引後に早く体力を回復させるには食べることが必要です。ビタミンBと協力して体力回復に一役買ってくれるはずです。
ダイエットを決心していた方は、甘いものは抜糸までと決めて少しだけ食べましょう。くれぐれも自分を甘やかし過ぎることのないようにして下さいね。
バランスの良い食事や睡眠も大切
これは脂肪吸引だけに限ったことではありませんが、カラダが受けたダメージから早期に回復させるためには、バランスの良い食事をしっかりと食べることが必要です。アミノ酸やタンパク質が回復に重要な役割を果たすとは言っても、それだけを食べていても回復を早くすることはできません。5大栄養素と言われる炭水化物・タンパク質・脂質・ビタミン・ミネラルをバランス良く食べていくことも大切です。
また、睡眠もカラダの回復にはとても大切です。最低でも3時間以上、できれば6時間以上の連続した睡眠がカラダの回復にはとても有効です。ソファなどでうとうとするのではなく、布団の中でしっかりと睡眠時間を確保するようにしましょう。
貧血対策で万全の準備を
脂肪吸引では適切な施術を行っていたとしても、ある程度の出血が伴います。元々の血の濃さが薄めの方(ヘモグロビン値で12を切る方)や、広範囲の施術を予定している方は、あらかじめ鉄剤などで貧血を改善したり血液を作りやすい状況にしておいてあげることが大切です。鉄剤などの鉄分補給は、効果が出てくるまでに2ヶ月以上かかる場合が多いですので、脂肪吸引の施術を受けようと決心した時点で鉄剤を飲みだしても良いかもしれません。
食べ物で鉄分を補給する場合には、レバーや赤身のお肉、貝や魚、野菜や海草類から摂取することができます。動物性食品の方が植物性食品よりも吸収が良いので、できれば動物性食品から鉄分補給するように意識しましょう。ただ、レバーなどはクセがあり好き嫌いがはっきりと出る食材ですので、苦手な方は無理をせずにサプリメントなどで補給すると良いと思います。
施術で予想以上に出血が起きてしまった場合には、鉄分を補給しても間に合いませんので、造血剤などの注射を行う場合もあります。そういったサポートまでクリニックが準備しているかどうか、事前に確認してみると良いでしょう。
5日間の食事メニューを考えてみる
1つの例として、施術当日からの5日間の夜ご飯メニューをそれぞれ2種類考えてみました。好みのものを選んでみてください。全てのメニューが脂肪吸引後の回復に適していますので、順番や日程は気にしなくて大丈夫です。
朝ご飯や昼ご飯についてはライフスタイルの違いもあると思いますし、全ての食事で食事内容を意識するのも大変ですので、好きなものを食べて良いと思います。できれば上記の食材を意識して選ぶことができればベストです。
施術当日
A:温かいとろろ昆布ソバや肉ソバ
B:豚丼と豚汁
当然ですが、施術当日はカラダがだるく、痛みが強い時期です。麻酔の影響で気分が悪かったりする場合もあると思います。当日の夜ご飯は無理して食べる必要はありませんが、食べられるようであればカラダを温めることができるものが良いでしょう。ソバや豚肉には脂肪吸引後の回復に役立つ栄養素が豊富です。家で食べることが面倒な方は、帰り道に駅の立食いスタンドや牛丼チェーン店などでサッと食べてしまうことも一案です。
脱水はカラダの状況をどんどん悪くしますので水分だけはしっかりと摂るようにしてください。トイレに行くのが大変だからという理由で水分を絞ってしまうのは非常に危険ですので絶対にしないようにしましょう。
施術翌日(2日目)
A:1人鍋
B:ツナ缶のチャーハン
施術翌日は、まだまだ体調が戻ってこない時期です。施術当日のように精神的に張りつめた感じも無くなりますので、少しだけとはいっても外出するのはとても大変だと思います。翌日はできるだけ家の中でゆっくりと過ごすようにしましょう。
家の中で少し動くことは深部静脈血栓症(ロングフライト症候群・昔のエコノミークラス症候群)の予防にとても有効ですので、ちょっとだけ台所に立って料理を頑張ってみるのが良いと思います。間違っても、ソファやベッドの側に必要なものを全て並べて、トイレも紙コップで済ませるような生活はしないで下さい。血栓症のリスクが高まりますので危険です。
料理としては、鍋がオススメです。脂肪吸引の施術は脂肪や出血と一緒に体温も外に逃げてしまったり、麻酔によって深部体温が下がりますので、施術直後はとても寒気がありますし、夏であっても最初の数日は寒く感じる場合があります。鍋などの温かいものを汗をかきながら食べることで、胃腸の調子も整いますし体温調節にも一役買ってくれるはずです。
1人鍋は、豚肉や鶏肉・豆腐・ネギやニラ・キノコ類などを小さな鍋に入れて煮ると簡単に完成します。肉に火が通ったら完成ですので、豚バラ肉などであれば5分ほど煮込めばできあがるでしょう。最近では、「1プチッと1人前」のプチッとシリーズや鍋キューブなど、お手軽1人前鍋セットも販売されていますので、料理に慣れていない方でも簡単に作ることができまますよ。ツナ缶のチャーハンは、ご飯とツナ缶を混ぜて炒めるだけです。味付けはお好みで足しても良いですがツナ缶の味だけでもじゅうぶんかもしれません。ツナ缶は脂質が少ないノンオイルの水煮を使用するのがオススメです。
施術3日目
A:とんかつや豚の生姜焼き定食
B:親子丼や焼肉・ステーキ
C:うな重
3日目になると行動しやすくなってくると思います。キルシェクリニックの場合では、術後の圧迫が外れてパンストに切り替える時期ですので、経過観察で外出をする時期でもあります。外食もしやすくなってきますので、ボリュームのある豚肉料理を積極的に食べることが回復には効果的です。豚肉が苦手な方は、牛肉や鶏肉などの肉料理を食べることを意識します。親子丼や焼肉などでも良いでしょう。鰻(うなぎ)などもタンパク質やビタミンB系が豊富でオススメできる食事です。
山芋(とろろ)がオプションで選べるようであれば、積極的に選ぶようにしましょう。3日目になれば、コッテリした食事でも食欲的には問題ないはずですよ。
施術4日目
A:マグロやカツオのお刺身・鶏唐揚げ
B:鯖の味噌煮や焼き魚・バンバンジー
4日目になってくると職場復帰なども現実的に考える時期になりますので、日常生活にできるだけ近づけるような意識も必要となってきます。早い方だとすでに日常生活に戻っていることでしょう。ということで、4日目はリハビリを兼ねて近所のスーパーで買い物をしてみましょう。とは言っても、スーパーで買い物をしてから家でも料理を作るというのは大変なもの。スーパーで手に入りやすく、簡単に手間をかけずに食べられるものを選んでみました。カラダを温めるという視点から見ると魚にも熱を加えた方が良いのですが、Aメニューは術後の体調を考えてお手軽さを優先させました。料理する余裕がある方は煮魚や焼き魚がオススメです。
お刺身や唐揚げなどのお惣菜は、夕方になるとタイムセールで安くなりやすいものなので、その時間帯を狙ってみるのも良いと思います。少し物足りないと感じる方は、納豆や冷や奴などの副菜やゆで卵、シジミの佃煮などを加えてみると良いでしょう。
施術5日目
A:納豆チーズオムレツ・アスパラと牛肉炒め
B:豚肉と温野菜の蒸しサラダ・しじみの味噌汁
5日目になってくると、ほぼ日常生活に戻ることができると思いますので、料理ができる方に向けてのオススメメニューを考えてみました。Bメニューの温野菜では、しいたけやキャベツなどを使うとより効果的になります。料理が苦手な方は、こういった料理を選んで外食することを意識してみて下さい。
その他、回復に有効なオススメの簡単料理
ツナ缶とブロッコリスプラウトのサラダ
ブロッコロスプラウトにはスルフォラファンという成分が含まれており、その成分がダイエットからデトックスまで様々な効果を発揮してくれるそうです。味にクセも無く値段もお手軽なので取り入れてみましょう。
豚肉と白菜のミルフィーユ鍋
とあるダシのCMでも作っているのを見かけますが、豚肉と白菜を順々に並べてから少し煮るだけのお手軽料理です。たくさん食べる方でも、豚肉はバラ肉200g、白菜は1/4くらいあればじゅうぶんでしょう。これも1人前の鍋セットが便利です。
ゆで卵
ゆでるだけで簡単ですが、とても有効な食事の1つです。夜ご飯には向かないかもしれませんが、朝ご飯や昼ご飯には向いているはずです。一緒に6Pチーズやハム・ソーセージなどを食べると、さらに良いでしょう。
サプリメントって必要なの?
サプリメントはお手軽に栄養素を補給できる一方で、食事以外にも追加で費用がかかってしまうことになるので、コストパフォーマンスが悪いものです。また、栄養素は摂ることができるかもしれませんが、食べたというヒトの根本的な欲求を満たすことはできません。サプリメントに頼りすぎること無く、食べ物から補給しづらいもの以外はできるだけ食事から摂るようにするように意識しましょう。
特にアミノ酸サプリには注意が必要です。食材に少しだけ気を遣うことで、食べ物から簡単に摂取できるこができるアミノ酸を、サプリメントとして飲む必要は全くないにも関わらず、施術後の食事指導などを全く行わないで大量のサプリメントの購入を勧められ、高額な追加料金が必要になるクリニックもあるようです。サプリメントのアミノ酸の含有量を見てみても、肉料理や大豆などの標準的な量よりも少ない場合がほとんどですので、食事をしっかりと食べられるのであれば、サプリメントを追加する必要は全く必要がないということになります。
個人的な意見ですが、脂肪吸引の施術前後を意識した場合には、鉄分以外のサプリメントは全く必要ないと考えています。
まとめ
脂肪吸引後の回復を手助けしてくれる食事について書いてみました。できるだけ早く体力も脂肪吸引後のダメージも回復させることで、スムーズかつ楽な経過を目指しましょう。そのためには施術内容や麻酔も大切ですので、後悔のないクリニック選びをするようにして下さい。
東京都港区赤坂にあるキルシェクリニックでは、施術前から施術後まで一貫して院長がサポートしていきます。24時間365日対応している院長直通メール相談もありますので、施術直後の不安な時や施術後しばらく経過して通院までは必要ないけれどもちょっと気になることの解決などまでとても安心できるとご評価をいただいています。
もちろん施術については大手美容外科クリニックで本院の脂肪吸引責任者やグループ唯一の脂肪吸引担当医師にまで選ばれた技術力に加え、キルシェクリニック独自の特注吸引管を多数揃えており、あらゆるケースに対応できるよう万全な準備をしています。麻酔についても厚生労働省認定麻酔科標榜医や日本麻酔科学会認定医という基礎的な資格に加え、日本麻酔科学会専門医と日本麻酔科学会指導医という最難関資格まで取っており、今でも難しい症例の麻酔を依頼されるくらいの実力ですのでご安心下さい。