最近、韓国で脂肪吸引を受ける方が増えているようです。
日本国内で施術を受けず韓国に渡航されて施術を受ける方の理由は色々とあるようなのですが、多くの場合では「安いから」「たくさん脂肪を吸引してくれるから」「技術的に信用できるから」というもののようです。
術後の経過などを追いかけていくと、韓国での満足されている方がいらっしゃる一方で、日本で施術を受けていれば困らなかったであろう内容で困っていたり、日本だとほとんど見かけないトラブルに遭遇している方も多いようです。
今回は、日本ではなく韓国で脂肪吸引を受ける際の注意点について書いてみたいと思います。
吸引量は本当に多いのか?
ネットの情報を見ていると、「韓国なら5000cc以上吸引できる」などの書き込みがたくさんあります。中には「1万cc吸引した」という書き込みもあるようです。
確かに脂肪吸引での変化の大きさは吸引量に比例しますので、たくさん脂肪を吸引した方が大きな変化が期待できます。日本国内では3000ccまでと吸引量の制限しているクリニックも少なくないですので、この数値が魅力的に映るのは自然なことだと思います。
しかし、逆に韓国で脂肪吸引を受けて輸血が必要になり、緊急入院して輸血されたなどの情報も見られています。入院して輸血が必要になるレベルまで貧血が進むには、一般的には2000cc前後の出血があることになりますので、仮に吸引量が6000ccだったと仮定しても出血量が2000ccあったとすれば、実際の脂肪の吸引量は日本のクリニックと大差がないか、むしろ少ない吸引量で終わっている可能性もあることは知っておかなければいけません。出血が多い、局所麻酔薬が多いなどの理由で吸引量が増えていた場合、それは術後の細さにはつながりません。
キルシェクリニックは日本国内では比較的脂肪の吸引量が多いクリニックですが、安全に脂肪を吸引できる上限量は、血液検査や体格などをふまえて5000cc前後に設定する場合が多いです。ただし、このくらいの上限量を設定しても、上限いっぱいまで取らずに脂肪を取り切ってしまうケースも少なくありません。
キルシェクリニックで、太もも・お尻・膝・ふくらはぎ・足首の脂肪吸引を受けた患者さんの経過です。外のラインも、内側も、とても細くなりました。
こちらの症例写真の患者さんは、安全に吸引できる上限量が4800ccくらいと見積もって施術を行いましたが、結果としては3800ccで全ての脂肪を取りきることができました。ここからどれだけ頑張ったとしても吸引できるのは血液のみで、これ以上は細くできないくらいの細さになっています。
このように、全ての患者さんで5000ccという上限の吸引量が必要ではないことがお分かりいただけると思います。
マックス何ccまで吸引してくれるかも大切な情報ですが、それ以上に「自分の脂肪をしっかりと吸引するためには、どのくらいの吸引量が必要なのか」ということを事前に把握した上でクリニックを選ぶことのほうが大切です。
本当に安いのか?安ければいいのか?
韓国への渡航費や滞在費が安いとはいえ、円高ウォン安の傾向にあるとはいえ、交通費や滞在費は決して無視できない金額です。総額でどこまで安くなるのかということを細かく計算して比較することが大切です。
先日TVで韓国が安いということで水光注射やHIFU、美容針などの美容皮膚科の治療を受けに行くという特集を放映していましたが、交通費まで含めない純粋な施術費用だけでもキルシェクリニックの方が安かったです。
また、脂肪吸引はちょっとした美容皮膚科の治療とは異なり、一発勝負の施術ですし、気に入らなかったとしても元に戻すことのできない施術です。そういった大きな治療に対して、価格差だけで評価して良いのかという問題もあります。
みなさんが進学先の学校や就職先を選ぶとき、果たして金銭面だけで選ぶでしょうか?雰囲気や希望の内容が叶えられるかどうかなど、様々な面から検討するはずです。脂肪吸引は、そういった人生を大きく左右するものと同じレベルで慎重な判断が必要な施術ですので、注意が必要です。
希望のデザインは手に入るのか?
脂肪吸引は美容外科で行われている施術の中でも、事前のカウンセリングや当日のデザインなどで、比較的細かく内容を詰めていく必要のある施術です。日本国内のクリニックであれば日本語でコミニュケーションできるので心配はいらないと思いますが、韓国では通訳を介しての会話になってくると思います。韓国語がネイティブレベルの方は、決して多くないでしょう。
キルシェクリニックには中国人の患者さんが脂肪吸引を受けにくることが比較的多く、その際には中国語の通訳さんを介して患者さんとコミニュケーションと取るわけですが、通訳さんによっては想像以上にこちらが言った言葉を伝えていませんし、時に大きく間違えた伝え方をしている場合があると感じています。
私は中国で仕事をしても支障がないくらいに中国語も話せるので、通訳さんが伝えたりなかったり間違って伝えている場合には、このように気づくこともできますし修正することができますが、ほとんど韓国語が分からない方が患者さんとして韓国に行った場合には、気づくことも修正することもできないと思われます。
そのコミニュケーション不足によって、希望通りの仕上がりが手に入らない可能性があるのが、脂肪吸引という施術になります。
とにかく時間をかけてしっかりと打ち合わせをすることが大切ですし、じゅうぶんにコミニュケーションを取れることが大切です。それは日本国内であっても同様で、カウンセリングに医師が時間をかけてくれないクリニックでの脂肪吸引の施術はお勧めしません。
術後は大丈夫なのか?
今まで3つのポイントについて書いてきましたが、ここが一番大切なポイントではないかと最近感じているのが術後の問題です。韓国で脂肪吸引を受けた患者さんが困ってキルシェクリニックに駆け込んでくるケースが非常に多いからです。
日本のクリニックであれば、困ったときでも比較的容易に相談ができますし、診察を受ける場合でも距離がネックになることは少ないでしょう。遠方であっても飛行機や新幹線で数時間ですし、チケット手配も海外渡航に比べて容易です。
しかし、韓国で施術を受けた場合には、海外便の飛行機と海外での宿泊先手配の他に、通訳さんの手配なども必要になり、さらにそれを韓国語が話せる通訳やエージェントを介してお願いすることになりますから、手間だけでなく迅速さという点についても問題が残ると思われます。1日の対応の遅れは、ときに重大な問題を生じさせる場合もあります。
こういった現状があるから、キルシェクリニックに術後に駆け込んでくる韓国での脂肪吸引後の患者さんが多いのだと思われます。
術後のトラブルについても、「変化が薄い」「術後をどう過ごせばいいのか分からない」などの緊急性の低い(それでも大切な)お悩みから、「拘縮がひどい」「凹凸がひどい」などの中程度のお悩み、中には感染を疑ったり強い貧血が疑われるなどの緊急性が高いものまで様々あります。
それらほぼ全ての悩みが、キルシェクリニックの術後であれば起きないものか、問題なくクリニックで相談・対応できている内容だということが残念でなりません。
また、それらのトラブルをギリギリまで我慢してしまうため、問題がかなり大きくなってから相談に来る患者さんが多いのも、韓国で脂肪吸引を受けた患者さんの特徴です。
術前だけでなく、術後の悩みも我慢せずにシェアできる環境が、脂肪吸引の施術では必要です。
まとめ
いろいろな問題点を書いてきましたが、やはり脂肪吸引については日本で受けるのか、韓国で受けるのかを慎重にご判断いただきたいと思っています。
脂肪吸引はプチ整形ではなく、人生をかけた大きな施術です。値段だけではない後悔しないクリニック選びが必要だと思っています。複数のクリニックを実際に回って相談し、症例写真と合わせて自分に合った(=この医師なら任せられる)クリニックを選びましょう。
個人的な見解としては、技術的にも安心感的にも日本の方が優れていると感じています。費用面については確かに差がある場合もありますが、それを上回るメリットの方が大きいでしょう。
もちろん、その慎重に検討した結果が韓国での施術ということであれば良いと思います。良い結果を信じて、その医師に託しましょう。
ただ、そんな慎重な決断であっても、想定外のトラブルで困ることもあると思います。そういったときには、トラブルが大きくなる前に、我慢せず、遠慮なく、キルシェクリニックに相談してください。
術後にちょっと困ったことがあるときには、インディバをしながら気軽に相談できる環境も整えています。インディバにお越しになった患者さんには、ご希望があれば術後の仕上がりを良くするためのアドバイスなども無料で行なっていますので、こちらもお気軽に利用してみてください。
脂肪吸引専門クリニックとして、キルシェクリニックが目指しているゴールは、当院で脂肪吸引を受けて欲しいということではなく、
「脂肪吸引を受けた患者さんに笑顔が増えて人生がプラスに変わること」
です。
せっかく大きな挑戦をするわけですから、人生にプラスの結果を全ての患者さんが手に入れて欲しいと心から願っています。
この目標のために、キルシェクリニックでは施術の体制もサポート体制も、他院術後の患者さんも含めて対応できるように整えています。