個人クリニックを選ぶ際の注意点4つ

皆さんが美容外科の施術を受けようと思ったとき、どうやってクリニックを選んでいますか?

知名度、値段、アクセスのしやすさ、症例写真、ブログの雰囲気、クリニックの豪華さ、ドクターのイケメン・美人度、などなど。皆さんがクリニックを選ぶ理由はたくさんあると思います。

そんな中で、はっきりと大きく好みが分かれる場合が多いのが、「大手か個人か」という部分です。

美容外科のクリニックには大きく分けて、「大手美容外科グループ」と呼ばれる、たくさんの医師で複数のクリニックを運営しているものと、「個人クリニック」と呼ばれる、1人の医師が1つのクリニックを運営しているものに分かれます。

それぞれに特徴や強みがあり、患者さんの傾向としては大手グループを好む人と個人クリニックを好む人に分かれるようです。どちらにも良い部分と苦手とする部分がありますので、皆さんのこだわる部分に応じて選ぶと良いと思います。

今回は、個人クリニックを選ぶ際に注意すべきポイントについて書いてみたいと思います。これがすべて当てはまるわけではありませんが、一定の傾向はありますのでクリニック選びの参考にされてください。

開院後数年してからの値上げ・値下げ

クリニック開院から1年くらいは、まだまだ軌道に乗っていませんので、事前に予想していたことと大きくずれることが、たくさん出てきます。それらを1年くらいかけて修正し、軌道に乗せていくことが個人クリニックの運営では求められます。ですので、クリニック開院から1年程度までの値上げ・値下げには問題はないでしょう。

ただ、消費税アップなどの社会的要因もないのに、数年経過してから既存メニューの値上げ・値下げをしている場合には注意が必要かもしれません。軌道に乗っていれば、誰もが納得する明快な理由なく、大きく価格変更をする必要性は少ないはずですので、考えられることは主に以下の2つになります。

患者数コントロール目的での値上げ

個人クリニックは医師1人で全ての診療・治療を行っている場合が多いですから、患者さんが集まりすぎてしまうと対応できなくなってしまいます。そのため、患者数をコントロールする(少し減らす)という目的で、意図的に価格を上げる場合があります。

こういった場合には常勤・非常勤医師の増員、スタッフの増員を同時に行っている場合が多いですし、症例写真が豊富に掲載されている場合も多いです。そういった部分も一緒にチェックしておくと判断しやすいでしょう。

ただし、こういったケースはそんなに多くはありません。

経営状況が良くないための値上げ・値下げ

患者さんが集まらず、クリニック運営が赤字もしくは赤字に近づいてくると、施術費用の値上げ・値下げをすることで何とか経営状態を改善させようと考える場合があります。どちらかというと値上げで対応することが多いようです。これ自体は悪いことではありませんが、患者さんが集まらない何かしらの理由があるということなので、不安がないとは言えません。

クリニックの運営が厳しくなってくると、医師やスタッフに余裕がなくなってきますので、クリニックの雰囲気が少し変わってくる傾向もあるようです。スタッフの対応がギクシャクしたり硬い感じになったり、今までよりも施術を強く勧められたりなど、ネットでの評価と雰囲気や対応が違っていた、などの場合には注意が必要です。

患者さんが集まらないのには、必ず理由があります。その理由がクリニック全体の雰囲気なのか、医師の技術なのか、値段などそれ以外の要因なのか、など、自分が納得できることが理由なのかどうかを細かく調べて検討する必要があるでしょう。

名指しでの他者批判を繰り返す

医療に限らず、心に余裕がなくなってくると、周りが見えなくなってきます。そういったときによく見られる行動が「名指しでの他者批判」です。こういったことは、生まれつきの性格的な部分もあるかもしれませんが、経営状況が思わしくない場合などによく見られますし、他者よりも少しでも自分が優位に立ちたいと考える場合にも見られます。いずれにしても、医師に問題のある状況である可能性が考えられます。

美容外科の領域では王道や正解がないものも少なくなく、医師個人のこだわりや考え方で治療が行われている部分もあります。そういった部分で同業他者を批判するということは、自分のクリニックの売りがないと言っているようなものです。自分のクリニックの売りがあるのであれば、それをアピールすることが必要ですよね。裏を返すと、自分のクリニックの売りを、軸がぶれることなくアピールできているクリニックで、そのアピール内容が患者さんの求めているものに近い場合には、信頼できるクリニックの可能性が高いと言えそうです。

全ての人間は完璧なものではありません。批判をしている人間にも足りない部分があるということです。犯罪などを行っているのであれば仕方ありませんが、こういった正解のない問いや、ちょっとした間違いに対して批判をするというのは、心に余裕がなくなっているサインなのかもしれませんね。

専門外の分野でクーポン販売

今までずっと美容外科領域で頑張ってきていたのに、いきなり脱毛やスキンケアなどの美容皮膚科領域での格安クーポンを販売しはじめる、今までクーポン販売をしていなかったのにクーポン販売が始まった、などの状況では注意が必要かもしれません。

以下のような理由が、専門外の分野でクーポン利用をスタートする主なきっかけとなっているようです。

業務拡大で美容皮膚科部門を追加

2店舗目のオープンや、クリニック拡大など、業務の拡大に伴って美容外科だけではなく美容皮膚科の治療をスタートする場合があります。たくさんの患者さんにクリニックや治療メニューの存在を知ってもらうためには、クーポンを活用することは有効な手段です。クーポンを利用した場合のクリニック利益はかなり少ないものになりますが、宣伝広告費と割り切っているクリニックもあるようです。

こういったクリニックでは、やはり医師・スタッフの増員や事前アナウンスを行っている場合が多いですので、そういった部分をチェックすることで判断できるでしょう。

経営状態を改善させる最終手段

美容外科で思ったように患者さんが集まらないので、美容皮膚科に手を出した、というケースには注意が必要です。美容外科での売り上げだけで経営ができなくなってきてしまい、苦しまぎれに美容皮膚科にも手を出していることがあります。本当は美容皮膚科の方が患者さんを集めるのが難しいのですが、美容外科よりも簡単だと勘違いしている医師も少なくないのです。

こういった状況では、医師に美容皮膚科の知識が乏しい場合もありますので、治療自体にも不安が残ります。美容皮膚科の施術は主にナースが行うもので安全性が比較的高いですし、トラブルも少ないとは言われていますので、値段勝負で選ぶのであれば悪くはない選択ですが、たかがスキンケア、されどスキンケア。やはり経験豊富で慣れているクリニックの方が、良い結果が得られる傾向にはあるでしょう。まずは1回だけお試しで行ってみるようにして、コースなど長期間にわたって消化することが必要なクーポンを買うのは控えた方が良いかもしれません。

医師の経歴の中で、美容外科だけではなくスキンクリニック(部門)での勤務歴があるかどうかなども判断の材料になるでしょう。そのクリニックが運営しているブログなどがある場合には、その内容からも推測することが可能です。今まで美容外科の内容ばかり書いてきていたのに、最近いきなり美容皮膚科の内容が増えていないか、などのチェックをしてみると良いかもしれません。

ネットでの評価でクリニックを判断できるか?

最近はネット社会が進んできたきたせいか、大手グループだけでなく個人クリニックの評価も目にすることが多くなってきました。そういった口コミは、どこまで信頼できるのでしょうか?

治療に満足した患者さんは書きこまない場合が多い

ネットでの評価というものは、満足できなかった人が多く書き込む傾向にあります。また、書き込み方の強さもネガティブな感情を持っている人の方が強くなる傾向にあります。その結果、良い評価よりも悪い評価が目立つことも少なくありません。

正しく判断するためには、「良い評価があること」よりも、「悪い評価がないこと」をポイントにしてチェックすると良いでしょう。

悪いものは削除している場合も

ネットの悪い書き込みに対して、削除を専門に請け負う業者さんがいます。そういった業者が複数存在しているということは、削除を依頼しているクリニックが少なからずある、ということの証明にもなります。

「悪い評価がない」けれど、「良い評価だけがたくさんありすぎる」という状況には、少し注意が必要そうです。

ステマに注意

ネットは匿名のことが多いですから、いわゆるステマ(ステルスマーケティング)が可能です。クリニックのスタッフが自分たちで良い評価を書き込んでいるものから、業者に依頼して患者さんを装って書いているケースや、患者さんに良い評価でのブログを書いてもらうなど、さまざまな方法があります。

口コミサイトなどの評価がステマかどうかを判断することは非常に難しいですが、ブログなどでは比較的簡単に見抜ける場合もあります。「治療経過が数本だけ載せてあり、他のことはほとんど載っていない」「あまり更新されていない、最終更新から長期間経過している」「クリニック名を何度も書いている」「wordpressなど、使いづらいけれどSEOしやすい(検索でヒットしやすくすること)サイトを利用している」などの条件が当てはまる場合には、ステマである可能性を疑う必要があるかもしれません。

変化には理由がある

ものごとが変化をする場合には、必ず理由があります。個人クリニックの場合には規模が小さいですから、その変化の理由が推測しやすいですので、何かクリニック運営に変化があったときには、その裏側(理由)を推測することで、そのクリニックが問題ないかどうかの判断材料になるかもしれませんね。

世の中にはたくさんの美容クリニックがあり、それぞれのクリニックがさまざまなポリシーを持って運営しています。皆さんのこだわりに一致するクリニックは必ずどこかにあるはずですので、焦らず、じっくりとクリニック選びをするようにしましょう。それが美容治療の成功への第一歩ですよ。