脂肪吸引は1年を通して受けられる施術ですが、術後の圧迫などを考えて夏を避ける傾向にある施術でもあります。ただ、お休みの関係や予定されているイベントの関係などで、夏に施術を受けなければいけない患者さんもいらっしゃると思います。
夏はエアコンが効いている職場や施設も多いですから、患者さんのライフスタイルによっては夏でも問題なく(むしろ冬より快適に?)施術が受けられるわけですが、夏の脂肪吸引の施術には特別に気をつけなければいけないポイントがあるのも事実です。
今回は、夏に脂肪吸引、特に太ももなど広範囲の脂肪吸引を受けるときに注意しなければいけないことについて書いてみたいと思います。中には皆さんの健康に大きく関わる大切なポイントも含まれているので、ご参考にされてください。
1.エアコンはしっかりとつけて、積極的に水分を摂りましょう
最近は地球温暖化のせいもあってか、気温が30度を超えることが普通になってきてしまいました。猛暑日と呼ばれる気温35度以上の日などでは、熱中症で救急搬送されるというニュースも多くみられ、中には死に至っているケースも少なくありません。
脂肪吸引は脂肪を体の外に吸い出す施術ですので、その際に血液を含めた体液も一緒に体の外に出て行ってしまいます。特にに太ももなどの吸引量が多い部位では、体内の水分バランスが大きく崩れる可能性もじゅうぶんに考えられます。つまり、脂肪吸引の術後は強い脱水状態になっていると言ってもよいでしょう。
熱中症でもお分かりの通り、脱水は熱中症が起きやすい状況であり、その症状も強く重篤になる危険性がありますので、脂肪吸引後もできるだけ脱水から早く回復させることが大切です。脂肪吸引の術後は、こまめな水分補給を心がけるようにしましょう。水分補給の方法については、一気にたくさん飲むと尿として出ていってしまい、水分補給の効果が薄れてしまいますので、1日を通して少しずつ飲み続けることが大切です。太ももなど大きな範囲での脂肪吸引後の水分摂取量としては、1日1Lから2Lというのが目安です。期間としては施術当日から抜糸までの数日から1週間くらいまでを注意しておけば良いでしょう。トイレに行くのが嫌だから水分を絞って我慢する、ということは危険なので絶対にしないようにしてください。こまめな水分補給を行なっていれば、トイレに行く回数はそこまで増えません。
二の腕やお顔など、範囲が狭い脂肪吸引については、日常生活と変わらない注意でもじゅぶんですが、それでも水分補給は少し多めに心がけておきましょう。
また、エアコンは必ず24時間使用するようにして、夜間でもタイマーで数時間だけという使用方法は控えるようにしましょう。日中は水分を補給できても、寝ている間は水分を補給できませんし、夜間であってもエアコンを止めると予想以上に室温は上昇するからです。蒸し暑い室内は不快なだけでなく、熱中症や脱水による体調不良のリスクを高めます。1日を通して室温を26度前後に維持してあげることで、脂肪吸引後に大きく体調を崩すリスクを下げることが可能です。夏場の脂肪吸引で、エアコンを積極的に使用することは、とても大切なポイントです。
脂肪吸引後の体調不良は症状が強く出ますし、症状が出たときにはすでにかなり危険な状況になっている場合もあります。ときに命に関わる危険性もありますので、少しでもおかしいと感じたときには、すぐにクリニックに相談することも大切です。早めに治療を開始すれば、大事に至らず早く回復させることができる可能性も高まります。
2.圧迫をしっかりと行うようにしましょう
夏は暑いですので、圧迫が蒸れて大変な場合もあるでしょう。特に外や厨房などの暑い環境で仕事をしている患者さんにとっては、圧迫を頑張ることは仕事への悪影響が出る可能性もあり、日中は圧迫をせずに過ごす患者さんも少なくないようです。
脂肪吸引後にはむくみが必ず出ますが、そのままむくんだ状態で経過していくと、むくんだ太さのままで脂肪吸引が仕上がってしまう可能性が高くなりますので注意が必要です。
特に太ももなど下半身の脂肪吸引の場合、むくみは夜間より日中の方が出やすいですので、夜間だけの圧迫というのは、圧迫としてはかなり不十分であると言わざるを得ません。圧迫は脂肪吸引の仕上がりを良くしてくれる大切な要素ですので、暑い環境で働いているために圧迫ができないようであれば、涼しい時期の施術を検討する勇気も大切です。
3.しっかりと食べるようにしましょう
「夏バテ」という言葉があるように、夏場はただでさえ食欲が落ちる時期です。脂肪吸引の回復には栄養が大切ですので、しっかりと食事を摂るようにしましょう。
私のコラムでも「脂肪吸引後の早期回復に必要な食事について科学する」というコラムがありますので、こちらを参考にしていただければと思います。
まとめ
夏場の脂肪吸引は、ライフスタイルによっては他の時期と同等か有利な場合もありますが、不利な環境になる方にとってはお勧めできない時期でもあります。また、脂肪吸引後に体調を崩しやすい時期でもありますので、体調を崩さないような対応策や予防策をしっかりととり、安全かつ快適に術後を過ごせるように準備しておきましょう。